はじめての“カスタマーサクセス”とチーム・オンボーディング
顧客サービス本部でカスタマーサクセスに従事する社員は、日々多くのお客様からのお問合せに対応しています。ほとんどの社員は未経験からのスタート。今回は、入社7カ月の新人常塚 紫央里と、スタッフの教育支援に従事している佐山 真弓との対談から、当社の教育支援についてご紹介します。
未経験でのカスタマーサクセス。不安からのスタート
弥生株式会社のお客様は全国の中小企業、個人事業主で、登録ユーザーは200万を超えます。毎日お客様からのお問合せが途切れることはありません。未経験で入社したカスタマーサクセススタッフの常塚は業務を行うことに不安を抱えていました。
常塚 「お客様からのお問合せ対応という職種から、クレームの対応が多いイメージがありました。あと、簿記からはずっと逃げていたので(笑)。専門知識を覚えることにも不安がありました」
そんな常塚が入社して最初に受けたのは、育成担当とのインタビューでした。当社では、中途入社の社員に対して、入社直後にインタビューをする試みを始めています。
常塚 「最初のインタビューで学生時代の得意科目など聞かれました。今までの会社では、そんなに丁寧に自分のことを聞かれたことがなかったので驚きました」
佐山 「このインタビューは育成者と新入社員における相互理解のためのコミュニケーションをとることと、新入社員のこれまでの経験・既得能力・学習スタイル・思考の特性などをヒアリングし、今後の育成プランに反映させるという、ふたつの目的があります。
人それぞれ、得意とする学習方法があります。たとえば、書くことで覚える人だったり、逆に全然書かずに聞くことで覚えたり、体を動かすことで覚えたりなど。そういった得意な学習方法を探るためにインタビューシートをつくり、質問に答えてもらいます。
得意科目をヒアリングするのも同じ目的で、たとえば数学が得意な人は、ある決まった答えがあって、それを解くことが好きだという傾向があります。そういう人には、教え方も明確な答えを示してから説明すると理解しやすくなります。
また、インタビューの内容は、育成部門だけで完結するのではなく、配属チームのメンバーにも共有します。現場チームもそれを生かしてくれることに期待しています」
常塚 「確かにそうでした!私はインタビューのときに、事象を関連づけながら頭に入れると理解しやすいとお伝えしたのですが、チームに配属された後、先輩たちが何かを教えるときに、事象を関連づけるように説明してくれて、私が理解しやすいように工夫してくれました」
カスタマーサクセススタッフの入社は未経験者が多くを占めます。研修期間の効率的な学習とその後のフォローにインタビューを役立てています。
最初はお客様の話を聞くことから
実際の研修では何を学ぶのでしょうか。
佐山 「最初の研修では、お客様対応の基本的な知識とスキルを習得します。たとえば、会話をしながらメモを取る(システム入力)、要約して履歴を登録する、製品やナレッジ・ツールを使いこなす、トークテクニックを習得するといったことです。
お客様との対応では、これらの動作をお客様の話を聞きながら行います。ひとつでも躓くと聞くことに集中できなくなるので、聞きながらこれらを自然に連動させることが重要になります。
お客様対応において重要なことは、お客様の話を正しく聞くこと。そのために必要なベースとなる部分を研修で学びます。これらのスキルを約2カ月かけて取得した後、先輩にフォローしてもらいながらOJTでお客様の話を聞くということを実践していきます」
常塚 「最初のうちは、先輩たちの経験を基に作成したよくある質問を、ロールプレイングで教えてもらいました。お問合せに対応するようになると、同じ内容であれば教えてもらった通りに返答できるのですが、お客様によっては、想定された質問通りでない場合もあります。
クラウドアプリのことをオンラインアプリと言われたりすると、他の言い方があることを知らないので、焦ってしまって教えてもらったことがひもづかなくなってしまって。落ち着いて研修資料を見返すと、あ、そういうことかとわかるんですけどね」
そんなときはどのように対処しているのでしょうか。
常塚 「チームの先輩方に助けてもらっています。先輩は『とりあえずいったんお客様との電話を保留にして、質問内容を一字一句そのまま伝えてくれれば大丈夫だから』と言ってくれます。そうすると、こういう風に答えてほしいといった明確な指示をもらえます。
始めはお客様に質問するのが怖かったんです。質問したら倍返しされそうで(笑)。でも、『こういう風にお客様に言ってみて』と教わった通りに自分から質問すると、お客様は怒るどころか、『伝え方が悪かったね、ごめん、ごめん』とはじめから説明し直していただけます。
質問することって怖くないんだって感じるようになってからは、言い回しにこだわるよりも、一生懸命さがお客様に伝わるようにと思うようになりました」
大事なのは、聞くことに集中すること。とはいえ、やはり最初のうちは集中するのが難しい場合もあります。日々対応に四苦八苦していた常塚ですが、周りも黙って見ていたわけでありません。
常塚 「私が帰った後に、先輩たちは毎日作戦会議をしていたみたいなんです。新しい人が入ってきて実際に作戦会議をしているのを見て、私のときもこんなに遅くまで会議してたのかと思いました。『今日はこんな状態でした』『じゃあ明日はどうするか』みたいなことを毎日やってるんです。本当に手厚いサポートをしてくれています」
佐山 「育成は人によって反応が違っていたり、進み方が違っていたりします。計画は立てますが、その通りにはいかないのでどう修正していくかということを常に考えています。高速でPDCAをまわしているような感じですね」
先輩のサポートを通して、業務が少しずつ分かるように
先輩たちのサポートもあって、着実に成長する常塚。教えてもらったことが生かせてるな、と感じたのはいつぐらいだったのでしょうか。
常塚 「契約関連のお問い合わせ対応を始めて3カ月くらいたったころからでしょうか。契約のご相談は同じ内容が多いので、何を把握しておかないといけないのかがわかりだしました。それとともに、上司への指示の求め方やお客様が言いたいことも大体わかるようになりました。
その後、製品操作の研修を経て、6カ月目からは操作に関するお問い合せ対応をひとりで行うようになりました。2020年現在は7カ月目が終わるところです」
契約に慣れてきたところで、違うスキルを学習するときに不安はあったのでしょうか。
常塚 「めっちゃ不安でした。先輩が話してるのを聞くと専門用語が飛び交っているし、聞いたこともないような話をしているので、漠然とした不安がありました。でも、今まで対応してきた契約関連のお問い合わせよりも、製品操作に関するお問い合わせのほうが対応数も多く忙しそうなので、自分も対応してみたいなという気持ちになりました。一部のお問い合わせ対応しかできないと自分だけ何にもしていないという感じがして歯がゆかったですね」
そんな常塚も、操作に関するお問い合わせ対応をはじめて1カ月、自身の成長を感じるようになってきました。
常塚 「操作質問の対応については、これといった王道のルートがあるわけではなく、毎日の対応の中で蓄積していくという感じです。
成長といえば、仕訳や勘定科目への苦手意識がなくなりましたね。あと専門知識がわかるようになってきたり、法人会計の大体の流れが分かるようになったりだとか。以前はとにかくメモを取ることにいっぱいいっぱいでしたが、今は何を重点的にメモする必要があるかということが自分の感覚で分かってきました」
ふたりの話を聞いていると、本人の頑張りはもちろんですが、個人個人が成長しやすいようにバックアップする体制も印象的です。
佐山 「お客様対応は孤独だという人もいます。一人ひとり個々にお客様対応をしてるので、孤独に見えるのかもしれません。でもその裏側では、直接支援をしてくれる人だけではなく、お客様対応を円滑に行うことができるよう、たくさんの方々が環境を整えてくれています。チームじゃないとこの仕事は成り立たないんですよ。
当社では、お客様対応をしている人をRepと呼びます。これは代表者(representative)という意味なんですけど、会社を代表して、お客様対応をする人をいろんな人が支えているんだなと思います」
常塚 「たとえばクレーム対応をしてるとき、おそらく返す反応とか言い回しで、(クレーム対応だなと)周りの人もわかるみたいですね。気がつくと横で一緒に聞いてくれてたり、ホワイトボードで指示を出してくれたり。常に見ていてくれているということを感じます」
そういった周りの支援があるからこそ、日々成長していけるのかもしれません。
常塚 「そうですね。私がいるオンラインチームは褒め上手な先輩たちがいて、ちょっとできるようになったら『すごいね』とすぐ言ってくれます(笑)。最初は辞めさせないために言ってるんじゃないかと勘繰っていましたが、入って7カ月たってもみなさんの感じは変わりません。チームが持っている雰囲気なんだなと思います」
佐山 「常塚さんが所属する会計オンラインチームの会話を耳にする機会があったのですが『いやー、今ね、あなたに指摘事項がないっていうのがすばらしいですね』と言っていて。褒め上手とは聞いていたけれど、そんな風に言っているの?と端から見ていて驚かされます(笑)」
常塚 「800点満点中900点だねって言われます(笑)」
佐山 「満点超えてるし(笑)」
お客様対応にも個性がある
カスタマーサクセススタッフの業務はお客様のお問合せにお答えするという同じ業務にみえますが、スタッフは、経験を重ねるごとに個々のノウハウやテクニックを蓄積し、それを生かしたお客様対応を行っています。
佐山 「もちろん、ある一定の共通した変わらない品質というのがあってこそなんですけど、それ以降のお客様対応で言うと、同じことを言ってもAさんが言えばするっと受け入れられることも。Bさんが同じ表現方法をとると、お客様に受け入れられないということがあります。
人に対して与える印象を理解していたら、話し方、声のつくり方など、その人に合った対応ができてくると思います。その特徴は個人個人で全然違うので、それが個性になるのではないかと思うんです。
みんながいろいろな特性を持つからこそ、チームで働いたときにその特性が生きるのかもしれませんね」
常塚 「私がいる会計オンラインチームでも、本当に個性的で、みなさん別々のところで抜きんでた部分を持ってらっしゃいます。お客様の感情に訴えかけるのがうまい人もいれば、やんわり察してもらうのがうまいタイプも。自分がどういうタイプなのかは模索中ですが、お客様もいろんなタイプの方がいらっしゃるので、タイプに合わせて自分のキャラクターを変えられるというのも大事だと思います。
私自身は本当に困っている人がいると、よし頑張ろう!という気になります。『初めて自分達で決算やるねん』というお客様に、こちらも頑張ってご説明したところ、とても感謝してもらえました。一方で、端的に説明してほしいというお客様には、要点を端的に説明することがまだできないので、うまく聞いてもらえるような伝え方ができるようになりたいなと思います。
なんでも来いって言えるように頑張ります。入社してから毎日充実して楽しいです」
一方、佐山も目指したいことがあります。
佐山 「現場のサポート役として、カスタマーセンター全体の品質向上というのは継続して目指していきたいです。あとは個々の考える力をもっと養っていきたいと思っています。
お客様対応は、お客様がおっしゃるキーワードを、自分の持っている知識に当てはめて回答を導けばよいと思われる方もいるかもしれません。ですが、しっかりと状況の聞き込みを行うことによって、本当のお客様のニーズは最初のお問い合わせには出てきていないことだったということはよくあります。
もっと聞き込みをして、いろんな知識をひもづけて考えるようになれれば、お客様にとって、有益なアプローチができるようになると思います。なので、もっと自分で考えるということをトレーニングとして広めていきたいと思います」
入社して17年になる佐山ですが、育成にかける情熱が消えることはありません。何が原動力になっているのでしょうか。
佐山 「育成に関わった人達の、今までできなかったことがある日突然できるようになった瞬間を目にすると嬉しいんですよね。そういう瞬間に立ち会えることが仕事の原動力になっています」
弥生の継続的な事業成長を支えお客様の「事業コンシェルジュ」であり続けるために、お客様を成功に導くカスタマーサクセスはとても重要な役割を担います。今後もチーム弥生として、新たな仲間探しとメンバー育成の旅は続きます。
※この記事は2020年9月に他媒体に掲載したものの転載です。
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