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多面的な視点でお客さまを支えていきたい。中小企業育ちの子どもが事業コンシェルジュを目指すまで

7月20日は「中小企業の日」であり、7月を「中小企業魅力発信月間」として、中小企業・小規模事業者の存在意義や魅力等に関する正しい理解を広げていく機会となっています。

中小企業の事業支援を担う弥生は、中小企業の魅力を新たな角度からお伝えしたいという思いから、昨年「中小企業の経営者を親に持つ方々」の座談会を開催しました。

今年は、ご実家が農業を営んでいる鈴木さんに話を聞きました。小さい頃からご両親が仕事をする姿を見てきた彼女は、大学では農学部を選択しながらも弥生に新卒入社することを選びました。鈴木さんのこれまでの体験や弥生に入社するまでの経緯、これからの思いについて伺いました。


小さい頃から見続けてきた両親の仕事姿

鈴木さん(パートナービジネス本部・2024年入社)

会計事務所への営業およびサポートを担当。会計事務所へのヒアリングを通して、お客さまの希望を実現するため、弊社製品・サービスを利用した業務効率化の提案やDX化の支援などを行う。

ーはじめに、鈴木さんのご実家が経営されている農業について教えて下さい。どのようなものを作っているのですか?

鈴木:江戸時代の終わりごろから、農業をやっていて、お米や麦、ご当地物産であるせんべい・かりんとうなどのお菓子も販売しています。特に安全に配慮したお米作りを心掛けています。

昭和の終わり頃、祖父のもとに「農薬に頼らない安心・安全なお米が食べられないか」と主婦の方々が尋ねてきたことだそうです。しかし、有機農業を始めるには自分自身の田んぼだけでなく、地域全体の協力が必要になります。そこで諦めることなく、おいしいお米を届けたいという熱い想いで、周りの農家さんを巻き込み、農薬を極力使わない取り組みが始まったそうです。

今では、お米を近隣の保育園の給食用に提供するなど、地域に根差した活動を積極的に進めています。祖父や両親の農業に対する姿勢は、本当に凄いと思います。

ーもともと家族経営だったところから法人化されたとのことですが、それはいつ頃ですか?

鈴木:私が5歳の頃に、会社を設立しました。家と同じ敷地内に会社があるので、外で遊ぶ時には「危ないから農業機械がある場所に入ってこないように」と、何度も注意されていましたね。会社になってからは、環境が大きく変わったのを覚えています。

ー環境の変化について、印象に残っている出来事はありますか?

鈴木:金曜ロードショーを見ながら父の帰りを待っていたところ、映画が終わっても帰ってこなかったことがあります。法人化したばかりの頃は、そんなことが何度もありました。また、繁忙期の田植えや稲刈りの時期には、人手が足りず大変そうでした。

今は一年を通して作物を育てていますが、父の帰りも早くなり、夕方にくつろいでいる姿を見かけます。トヨタ自動車が開発した効率的な生産方式「トヨタ生産方式」の考え方を導入したり、従業員が増えたことで業務分担や効率化が進んだそうです。

ー小さい頃は、事業のお手伝いをしていましたか?

鈴木:小学生の頃から、地元の農作物を売る「軽トラ市」で商品を販売するお手伝いをしていました。「試食どうですか?」とお客さんに声をかけたることから始め、高学年になるころには、お釣りを計算して渡するようになりました。そして、高校生になると、全て任されてもらうこともありました。

ー農業が身近な環境だったと思いますが、ご自身の進路にも影響はありましたか?

鈴木:はい、大学は農学部を選びました。正直、明確に進みたい方向が決まってなかったのですが、一番興味を持てた学部が農学部でした。農家さんに泊りがけで農業体験を行ったり、経営学や会計学、マーケティングなど農業を経営する上で必要なさまざまな授業を受けました。

ー大学時代に、どんな気づきや発見がありましたか?

鈴木:日本の農業従事者のなかで、専業で農業をしている人は半分もないということを初めて知り驚きました。兼業農家さんだけでなく、趣味で行っている人も結構いるんですよね。実家は専業農家だったので、それだけで食べていく大変さを知りました。

また、農業簿記の勉強を通して会計の基礎を学び、日商簿記3級を取得しました。簿記を勉強するなかで、会計や経理は会社経営に影響を与える重要な業務だと感じ、面白そうだなと思うようになりました。

農学部から会計の世界へ

ーそこから弥生に入社するわけですが、きっかけは何だったんですか?

鈴木:大学の簿記の授業を通じて会計の面白さに気づいてから、会計事務所やどこかの企業の経理になろうかなと思っていたんです。それを父親に話したところ、「会計業務だけでなく、より幅広い業務に関われるところに行ってみたら?会計ソフトを作っている会社もあるんだよ」とアドバイスをもらいました。そこから調べてみると、弥生にたどり着いたのです。
学んできた会計知識を生かせるだけでなく、多岐にわたる業務に関わることができるのはいいなと思ってました。

あと、私が会社員になった理由には、憧れもあったんです。

ー会社員に憧れたのはどうしてですか?

鈴木:家の敷地内に職場があるので通勤という概念がなく、両親は経営者なので働く時間は自分で決めていました。
周りに会社員経験者がいなかったっていうのもあって、当時の私の会社員のイメージは、スーツを着て、電車に乗って通勤し、決まった時間に働くというものでした。当時そういう生活がとてもかっこいいと感じていたんです。

ー実際、弥生に入社してみてどうですか?
鈴木:私が思い描いていた会社員のイメージとはちょっと違って、弥生の皆さんは服装も自由で、リモートワークをしている方もいます。実際に働いてみると、多様な選択肢があって、とてもいいなと思っています。

今は、パートナービジネス本部の営業企画部で、弥生PAP会員である会計事務所さんへの営業活動を担当しています。会計事務所さんから「お客さんのここを改善していきたい」という話を聞くと、経理を担当していた母のことを思い浮かべちゃいます。会計事務所さんと経営者さんの両方の想いを想像しながら、話すことが多いです。

―鈴木さんにとって、経営者の方々はどのようにみえていますか?

鈴木:他の農家さんや経営者の方と話す機会もありますが、すごく大変そうではあるものの、楽しんで仕事をしているように見えますね。仕事が趣味であり、好きなことであれば仕事という概念が消えて、労働という考え方ではなくなるんだなと感じています。

多角的な視点で支えていける事業コンシェルジュに

ー今後について考えていることはありますか?

鈴木:最近は実家から、「弥生に入ったんだし、経理をやってみないか」と声がかかり始めています。実家に帰った時、母がまだ紙やエクセルなどで管理しているのを見ると、うちの委託している税理士さんはこれを手入力しているのを想像し、大変だろうなと感じます。
会計事務所の方はきっと会計ソフトを導入してほしいと切に願っていると思いますが、一方で経営者の目線からすると、忙しい中でソフトを導入するのは難しいという気持ちもあると思うんです。母を楽にするために、次に実家へ帰った時には導入の手伝いをするのもいいかなと。

弥生の製品やサービスが、母みたいな人たちの役に立ち、本業を集中できる助けになったら嬉しいです。私自身、両方の環境を知っているからこそ、さまざまな人の目線に立ち、お互いのことを考えてサポートしていける事業コンシュルジュになりたいです。

編集後記

鈴木さんが、なぜ農学部から弥生に入社したのか気になっていましたが、農業経営をするご両親の影響があったのだと感じました。仕事をする中で、自身のご両親の顔が浮かんでくるというエピソードがありましたが、身近でご両親が働く姿を見られてきた鈴木さんの強みだと思います。今までの体験を活かし、お客様に寄り添った事業コンシェルジュを目指す鈴木さんの活躍を楽しみにしています!

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