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【弥生給与Next 開発秘話】社員800人を味方につけた、年末調整デジタル化プロジェクト

弥生はクラウドサービスの新ブランド「弥生Next」の第1弾として、「弥生給与 Next」を2023年10月20日より提供しています。そして提供から1か月後には、年末調整機能もリリースしました。

これにより、年末調整における控除申告の依頼や回収、税計算、法定調書の作成、従業員への源泉徴収票の配布までの作業をWeb上で完結できるようになりました。

このデジタル年末調整機能、実は3年以上にわたり、社内で実際に使用され、検証を繰り返してきたものです。

今から3年前初めて社内の年末調整がデジタル化されました。全社約800名を巻き込み、紙ベースの給与年末調整を完全にデジタル化するという大胆なプロジェクトに踏み切った理由を、プロジェクトを主導した小倉さんと内山さんにインタビューしました。


<プロフィール>

小倉さん <次世代本部 次世代企画・開発部 部長>
内山さん <次世代本部 次世代企画・開発部>

現行の延長線上ではダメ。実際に見れるもの、動くものを触ってもらって、フィードバックをもらって、輪郭を具体的に

ー新サービス「弥生給与 Next」の年末調整機能をリリースしました。2020年から実際の社内の年末調整でテストを重ねてきた製品がリリースできたということで、社員の私もとても嬉しいです。当時のお話を聞かせていただけませんか?

小倉:弥生では2018年から、次世代の製品を開発する「プロジェクト2030」を発足していました。当時、弥生ではデスクトップの利用者が多くの割合を占めている一方、クラウドサービスはまだまだ発展途上。でも、将来的に全ての製品をクラウド仕様に移行していくことも視野に入れ、新規プロダクト開発に取り組んでいました。

その中で、現行の延長線上ではダメで、お客さまに向けて全く新しいプロダクトを作っていく必要があるねという話になりました。

しかし、「全く新しいプロダクト」というイメージが“ふわっと”していたんです。何をどうしていたらいいのかわからないといったのが正直なところでした。

ーそうなんですね、早い段階から社内でデモンストレーションをしていたり、順調なイメージがありました。

内山:それには、「考えるだけじゃなくてちゃんと動くものを出していきたい」というチームの意向がありました。

小倉:こういうコンセプトに基づいて要件定義して、こういう仕様で作っていきます、みたいに形式的に進めると、何年たっても製品ができないだろうなって思っていました。実際に見られるもの、動くものを触ってもらって、フィードバックをもらって、輪郭を具体的にしていくことが大事だと考えていましたね。

内山:そのためには、出来るだけ早く、継続的に、動いているものを見せて、全社を巻き込んだムーブメントを起こしたいと思っていました。

ーそこで、2020年5月、初めて半期の全社総会で、年末調整機能のデモ行ったのですね。社員の反応はいかがでしたか?

内山:実際、そのデモンストレーションは上手くいったんです。社員の方の反応もよくて。でも、製品開発の実態としては、まだまだフワフワしているところもありました。それをきっかけに、これは全社総会で一部だけ見てもらう”イベント”じゃだめなんだ、実際の業務で使ってもらおうと決心しました。

2020年10月の社員総会でのデモ画面

初めての試み、社内の反応は?

ー実際、いつ頃から、社内の年末調整デジタル化に向けて動き始めたのですか?

内山:その年、2020年の夏ぐらいですね。5月の半期総会以降も、経営会議で進捗報告はしていたものの、周りからは、あんまり進んでないように見られることもあって。元々弥生では、社員の給与計算ソフトは自社の「弥生給与」を使っていたこともあり、社内でテストができるんじゃないか、という話になりました。

ー社内ではこのプロジェクトに対して反対の言葉などはなかったのでしょうか?

小倉:むしろその逆ですね。当時の社長が、年末調整を社内でやってみていいんじゃないかって背中を押してくれたんです。そのときちょうど”ドッグフーディング”*が世の中的にも注目されていたこともあって、チャレンジしてみようよ、と。

*編集部注:ドッグフーディングとは自社で開発した製品やソリューションを社内で日常的に使用すること

ー初めての試み、しかも従業員にとって大切な年末調整業務で、そういう前向きな声が多いのはすごいことですよね!背中を押されますね。

年末調整期間中は、Slackに張り付いていた!?

ー実際、プロジェクトが始まってからはどうでしたか?

内山:正直、プレッシャーはとてつもなくありましたね。社員の重要な情報を取り扱うものということと、期限に遅れてはいけないということで。とくに社員のセンシティブな情報を取り扱うということで、トラブルがあった場合のデータの取り扱いはかなり慎重に検討した記憶があります。

ー労務の担当者は、このプロジェクトに対して、どんな反応でしたか?

内山:すごく前向きな反応でしたね。労務担当者だからこその着眼点で、ものすごい量のフィードバックをもらいました。(笑)そして印象に残っているのは、「こういう新規プロジェクトに一緒に取り組めるということが楽しいです!」って言ってくれたんです。

ーたしかに労務担当者の方が、プロダクトに関わることって普段はないですもんね!みなさん前向きに協力してくれたことがよくわかりました。プロジェクトは、初年度から無事に成功しましたが、成功した理由は何だと考えていますか?

小倉:経営層と優先順位の合意をとったことは一つ要因としてあるかもしれませんね。今回はまず「動くものを出す」「セキュリティ」が最優先、利便性はその次に置きました。そうやって、優先順位をしっかり握っていたからこそ、最後までぶれずにできましたね。

ープロジェクトを無事に完遂させるにあたって優先順位は重要ですね…!では工夫した点はどうでしょうか?

小倉:サービスだけ作って終わり、ということではなく、マニュアルからすべて関与して細やかに作り上げたこと、そしてSlackで全社からすぐに問い合わせができる窓口を作ったことは、意識してやったことですね。

内山:Slackではその期間は「即レス」を意識して、張り付いていました!(笑)

ー実際、今回の取材を企画したとき、編集部メンバーから「内山さんはSlackで即レスしてたよ!」という話が出たんです(笑)みんなの印象に残るくらい、丁寧に対応されていたということですよね。

内山:Slackでは、お問い合わせだけではなく、プロダクトに対してのフィードバックもたくさん連絡が入りました。そのとき、社員がみんな協力的で、救われたような気持ちになったんです。

これまでは、なにか新しい取り組みを始めると、批判されることが多いんじゃないかな?って正直思ってたんです。でも、みんな協力的で「もっとこうしたらいいかも」という意見もたくさんもらって。ああ、社員はみんな味方なんだ、って実感しました。

実際にSlackで入った社員からのフィードバック

社内のフィードバックは想像をはるかに超えるもの。チーム全体での「ものづくり」へ

ー先日の社員総会では、「他の新製品も社内でどんどん使っていこうよ」という声もありました。お二人は、その意見に賛成ですか?

小倉:ぜひやってほしいなと私は思いますね。弥生自体が社員数も増えて、実際の弥生のお客さま(スモールビジネス)と違う点もあり難しいとは思うのですが、やってみて初めてわかることがあり、将来的にお客さまのために繋がることだと思っています。

ー最後にお二人から、あらためて、このプロジェクトを振り返って、いま思うことを教えてください。

内山さん:このプロジェクトでは、いろいろな検討を繰り返してきたのですが、みなさんのフィードバックは私の想像をはるかに超えるものでした。だからこそ、やってよかった!と思います。
そして、当時手探りでやりながら進めてプロセスも作っていったのですが、その際のやり方を現在の「弥生会計 Next」などの新規開発でも取り入れていて。開発途中のものを、実際に社員に触ってもらうやり方が、社内に浸透してきたなって感じます。そのモデルを作れたのが本当によかったなと思っています。

小倉さん:今回は、これまでのシリーズのアップデートとかではなく、ゼロベースからサービスを作り上げました。ゼロベースで作るのは差分開発とは違い、土台を作るフェーズなので、「作って、触ってみる」ということから得られるものが大きかったです。そして、いまもその流れが社内でありますが、触ってみた人はぜひフィードバックしてほしいなと思います。誰かが決めちゃうのって確かに楽な部分もあると思います。でもこれからの弥生は、そうじゃない。チーム全体でものづくりしていく、そういう組織でありたいと改めて思います。

ーお二人とも、ありがとうございました!

< 編集後記 >

思い返してみれば、この取り組みに対して、ネガティブなことを言っている人は、周りに誰もいませんでした。社員みんなが、新しいプロジェクトに対して前向きで協力的だったと思います。

この年末調整デジタル化プロジェクトは、新しいプロダクトの開発、そして、社員の年末調整業務を画期的に効率化するという大きな功績を残しました。

しかしそれだけではなく、社内で新しい取り組みに挑戦する文化を形成するうえで、かなり重要な取り組みだったことがわかりました。

今後もこの新しく生まれた文化を大切に、お客さまに最高のプロダクトをお届けするために、チーム弥生、全社一丸となってプロダクト開発に取り組んでまいります!

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