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キレイな設計をしたいプログラマーこそ会計にハマる!構造化が好きなエンジニアが語る会計の魅力と会計ソフトの価値

多くのプログラマーにとって、会計ソフト開発はお堅いイメージがあって、開発することにハードルを感じるかもしれません。しかし、設計が好きなプログラマーであれば、会計の仕組みを見ればその魅力が理解できると、弥生会計の開発をしている竹山弘晃さんは語ります。
キレイな設計が好きな人、プログラミング以外にも知識の幅を広げたい人はぜひご覧ください。

複式簿記はキレイな仕組みだからプログラミングで設計しやすい

―どんなプログラマーが会計に興味を持てそうでしょうか?会計とプログラミングって全然違うような印象があります。

竹山 よりキレイに設計したい人とか、アーキテクチャに興味を持っている人とか、そういう人に複式簿記の仕組みを見てもらえたら会計に興味を持ってもらえると思います。会計用語がわかりにくいかもしれませんが、取引の数字が仕訳というデータになり、勘定科目ごとに集計され、最終的に決算書の利益へと計算されていく流れが、キレイな仕組みであることがわかると思います。

―どのあたりが”キレイな仕組み"になりますか?

竹山 複式簿記では取引を借方と貸方に分けて、最終的に貸借対照表と損益計算書を作ります。そこに至るまでに、取引を借方と貸方に分けて記帳します。お小遣い帳みたいに金額の増減だけを記載するのではなく、金額が動く背景を記載してきます。

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最終的に貸借対照表で出てくる金額と損益計算書で出てくる金額がぴたりと一致して、貸借を常に検算しながら、資産と負債・収益と費用の、二つの側面で、最終的に出てくる値が正しいというところまで確認できる。このような仕組みが、システマチックでキレイだなと思っています。

―なるほど、数字の証明問題みたいで面白いですね!

竹山 そうですね。複式簿記を行列で表すなど、数学的に扱う研究も行われているので、数学に近いかもしれません。プログラムの設計や構成をキレイに書くために考えながらプログラミングすると思うのですが、複式簿記は仕組みそのものがシステマチックなので、そもそもがプログラムで実現しやすい仕組みになっているところが面白いと思います。

それだけだと「ふーん」って感じなんですけど(笑)、この複式簿記の仕組みが600年程前からあって、現代のコンピュータにも当てはめやすいって、凄いですよね!

―そんなに昔から会計の仕組みが存在するんですか!?数百年を経ても使える設計になっているのは、確かに設計好きは興味をそそられますね。

竹山 オブジェクトとそれに対するリンク、勘定科目と金額、という考え方が繋がりやすいと思います。弥生会計のデータベースは完全にリレーショナルデータベースで表現できていて、データベースのER図を見ると、仕訳のテーブルが勘定科目のテーブルとリンクしています。会計の仕組みがキレイに当てはまるのが面白いですよね。

―竹山さんは、キレイに仕組みを作って流れるように結果が出るものがお好きなんですね。

竹山 鉄道の交通網や人を流れをさばくような仕組みも好きです(笑)。

会計ソフトを使いこなすと経営判断に役立てることができる

―そもそも、竹山さんはなぜ会計やプログラミングに興味を持ったのですか?

竹山 中学生のときからプログラミングが好きで、書いた通りにコンピュータを動かせることが楽しかったです。当時は個人が作ったWindowsのフリーソフトが幅を占めていて、みんながダウンロードして使っていました。多くを個人が作っていたことや、その内容が様々なものが入り混じっていて興味深かったので、自分でも何か作ってみたいと思いました。

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作っているうちに、自分のためだけだと自分で完結してしまってプログラミングの良さが活かしきれないので、自分のプログラミングの効果を最大化するためにも、社会の役に立つようなものを作って誰かに使ってもらいたいと思うようになって。

プログラミングが好きだったことに加えて家族が会計関連の仕事をしていたので、商業高校の情報処理科に進学することにしました。そこで簿記を学び、複式簿記の奥深さにハマりました。

―では、プログラミング×会計スキルは高校生のときから培われてきたのですね。

竹山 はい。就職を考えたとき、自分なら何が仕事にできるかと考え、会計とプログラミングの両方の知識を持つ人は少ないだろうと思いました。そして、お金にかかわるものであれば、何らかの大きな価値を生み出せるだろうと思い会計ソフトの開発を仕事にすることにしました。

―「大きな価値」とは何でしょうか?

竹山 会計ソフトは、どんな会社・個人事業でも必要となるので、必ず使われるというイメージがありました。会計ソフトをコストに留めるのではもったいなくて、会計をきちんと管理することで会社の経営状態を良くすることができます。それは、会社にとってかなりの価値を生むものだと思うんです。

自分の収支や資産負債を正確に把握できるということは、突き詰めていくと、これからの意思決定のために使うことができます。その意思決定をきちんとすることによって会社を大きくすることができます。そうすると、長い目で見て、会計ソフトは世の中全体に対して大きな利益をもたらすことができます。

そして、最終的には自分にとっても大きなメリットを得ることができるのではないか…ということが、会計ソフトを開発する面白みだと思います。

―最終的に自分のメリットになるのですか?

竹山 自分が開発した製品が多く使われることになるということは、自分の利益にも繋がるだろうと思いました。

―ああ、なるほど!自分の会社が儲かれば自分のお給料にも反映されますものね!会計ソフト開発は商売の仕組みとしてもキレイですね(笑)。

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今後は意思決定を促進できるような会計ソフトを開発していきたい

―竹山さんの今後の野望はありますか?

竹山 弥生の目指すものは「事業コンシェルジュ」です。

「事業コンシェルジュ」とは
共有・共生・共創の力を活かし、お客さまの事業の立上げと発展の過程で生まれるあらゆるニーズにお応えする

お客様の事業を軌道に乗せて成長させることが大事です。お客様にとって会計ソフトは、あくまでも道具のひとつでしょう。でも、会計ソフトには、お客様のためにまだできることがあると思うんです。

その中で自分が思い描いているのが、お客様の意思決定に役立つ機能を開発することです。具体的には、より直感的に会計情報を活用できるようにしていきたいと考えています。

古くから続いている弥生会計だからこそ、守らなければならないものもありますが、よりお客様の事業を加速させられる会計ソフトにしたいと考えています。

―より直観的に会計情報を活用するというと、具体的にどのようなものを考えていますか?

竹山 今一番考えているのは、よりグラフィカルなものを作りたいです。視覚的にキレイでわかりやすいグラフがあれば、直感的に財務状態を把握できると思います。そうすると、そこから意思決定しやすくなるので、会計ソフトが会社にとってさらに価値を生むものになると思います。

―その開発は一人だと大変そうですが、弥生で達成できそうでしょうか?

竹山 弥生のメンバーは、様々な経歴でみなさんが何かを持っています。その中でも共通して、柔軟さと粘り強さを兼ね備えていると感じています。弥生との出会いは、弥生が主催している「もくテク」という勉強会で、若手が発表していて自由な雰囲気に惹かれて入社しました。

「もくテク」で話を聞いた若手の方だけでなく、面接でお話したマネージャー、入社後一緒に仕事をすることになった同僚、みなさんが目の前の課題に真剣に向き合っています。そのようなメンバーと一緒に達成できたらと思います。

※この記事は2021年4月に他媒体に掲載したものの転載です。