「プロジェクト2030」弥生がはじめた本気の改革と統括リーダーの想い
次世代プロジェクト「プロジェクト2030」がスタートした弥生で小倉 岳人は新規プロダクト開発チームの統括リーダーを担当しています。同業他社でエンジニアをしていた経歴を持ち、前職の元後輩に誘われて弥生へ転職。プロジェクト始動にあたり心がけたこと、目指す未来を語ります。
ITバブル絶頂期、エンジニアという予想外のキャリアがスタート
テクニカルリーダーを務める小倉 岳人は、2017年に当社に中途入社。これまで2社で経験を積んできました。
生産性の高いエンジニア組織を目指し、弥生ではテクニカルリーダー・クオリティリーダー・PMの3ポジションを筆頭に、チームをまとめ開発を進めています。
学生時代は法学部で学んでおり、金融系企業への就職を考えていました。しかし、IT業界に将来性を感じ、会計・給与計算ソフトをメインで開発する企業に新卒で入社。営業を希望していましたが、なぜか開発部に配属されます。
小倉は思っても見なかった、エンジニアとしてのキャリアをスタートさせることになりました。
小倉 「入社したころはちょうどITバブルの絶頂期だったこともあり、新卒ながらとても濃密な時間を過ごせたと思います。入社してすぐに新製品開発に携わり、2年目にはサブリーダー、3年目にはプロジェクトリーダーを担当するなどやることが無限にありました。普通の企業が5〜10年のスパンで経験することを、3年ほどで任せてもらえたと思います」
しかし年末調整の時期に、障害が出てしまうトラブルが発生。慕っていた上司が退職し、小倉も転職を考えるようになります。
エージェントから紹介された独立系のSIerに入社し、パッケージソフトを開発する事業部でデータ分析ツールを開発していました。賞を獲るほど優秀なソフトを開発する事業部で、上司も新技術の導入に意欲的だったのでさまざまな製品に携わります。
小倉 「他企業よりいち早く当時から裁量労働制を採用しており、勤務時間は自由。働き方にゆとりが持て、自由な社風だったためにとても居心地の良さを感じていました」
15年ほど勤務していましたが、再び転職を考える出来事が起こります。
自由な社風を感じて転職するも、レガシーな部分が残るソースコードに苦戦
会社がある大手企業に買収されることになり、これまでの自由さが減り、仕事内容が制限されることになりました。決められた作業を決められた時間で進める、というような働き方へシフトしていったのです。
自由に開発できる場をかなり重視していたことに気づいた小倉は、再び転職を考えるようになります。
小倉 「会社の後輩が弥生に転職していて、普段は会社をあまり褒めるほうではない彼に、会うたびに『来ませんか?』と誘われていたんです。新卒で働いた会社の同業他社でもあったので弥生のことは知っていましたが、正直なところ儲かってはいるけど、昔ながらの会計ソフトのメーカーという印象しかなく、あまり良いイメージは持っていませんでした。まあでもそれだけ誘われたらよっぽど楽しい会社なのかなと思って、面接を受けてみることにしたんです。
最初は堅い感じの会社かなと思っていたんですが、実際は私服ですごく自由な雰囲気でした。面接官の方とも楽しく話せたし、すぐにオフィスの中に通してくれて、現場で働いているエンジニアの方々とお話する機会も設けてくれたので、かなり印象が変わりましたね」
2017年に弥生に入社し、給与系デスクトップ製品のテクニカルリーダーを任されます。参加したプロジェクトは、10月にバージョンアップさせた製品を発売し、その後すぐに年末調整に対応した版を販売するというスケジュールで進んでいきました。
小倉「法律はギリギリまで決まらないので、年末調整版はかなりの短期間で開発を進めなければいけないんです。さらにソースコードが歴史を重ねた重厚なもので、大変さが倍増。1年目は何度か休日出勤して頑張りました」
2年目には同じようなことが起きないように業務委託メンバーを増やし、業務を分担してソースコードも徐々に新しくしていきました。
会計関連ソフトを販売して長い歴史を持つ当社には、開発の中身にしても旧時代的なものが未だ残っているのが事実です。そこで2018年から、会社の製品全体を抜本的に変える改革が始動することになりました。
ベテランエンジニアをチームに迎え、本格的な改革が動き出す
弥生では2018年から、「プロジェクト2030」という次世代プロジェクトを発足しました。
現在はデスクトップ製品を開発しているイメージの強い弥生ですが、今後を見据えたときに需要が引き続きあるのかは分かりません。クラウドサービスが活性化している今、デスクトップ製品の衰退も視野に入れておく必要があると思っています。
小倉 「現状は、日本全体のクラウド利用は会計ソフトでも利用者の20%くらい、弥生でもデスクトップの利用者が多くの割合を占めている一方、クラウドサービスはまだまだ発展途上。これから全ての製品をクラウド仕様に移行していくことをミッションとしており、そのためには新技術の導入が不可欠になってきます」
2019年の10月から、小倉はプロジェクトのPMを担当。各チームからエンジニアを選抜し、本格的に改革していく体制を整えました。営業、マーケター、エンジニアなどそれぞれが話し合って進めていきます。社会のデジタル化に向けて大きなインパクトを与えられる、かつ大規模なシステムをゼロから作り上げられるというめったにないダブルチャンスでもあり、皆ワクワクしながら仕事をしています。
小倉 「今の当社のデスクトップ製品の開発はウォーターフォールとアジャイルを組み合わせたU字プロセスという開発プロセスを採用しています。上流から品質を着実に積み上げていくスタイルのため品質の高い製品を開発することができます。一方でどうしても時間がかかるという弱点もあり、急な仕様変更や要件の追加に柔軟に対応するのが難しいという側面もあります」
社長からの許可を得た小倉はスピードを最優先にした開発手法でこのプロジェクトを進めています。設計ありきで開発するのではなく、サービスを開発しながら評価と修正を繰り返してサービスをブラッシュアップしています。
小倉「まず第一弾として弥生社内の業務をデジタル化するサービスをリリースしました。従業員のスマートフォンからも申告できるようにして、全従業員に実際に使ってもらいました。業務担当者側の業務もWebで完結できるようになっています。
従業員向けのアンケートでもポジティブな評価をいただくことができていて、本気でサービスを変えていこう、という雰囲気が社内にも伝わりはじめていると感じています。現在はいただいたフィードバックをもとにサービスの改善をしつつ、次のサービスの開発に着手したところです」
社内外の垣根を越え、働きやすい環境をつくっていきたい
今回のプロジェクトでほかと異なる点は、デザイナーチームをつくったこと。これまではエンジニアがデザインも考える場合が多かったのですが、UXにさらに力を入れるため新たにメンバーを5名アサインしました。
実装チームとデザイナーチームが協力する体制を整えたのは当社初のことで、今後はUXを考慮した全体像を設計していきます。
小倉 「今は始動したタイミングなので、担当領域を固定しないようにしています。みんなで同じ方向を向き、みんなで協力しながら開発していきたいですね。また、本人のチャレンジをどんどん受け入れるチーム体制を目指しています。
ですから新しいことにチャレンジしたい、かつクライアントが本当に何を望んでいるのかを突き詰めて考えられる、そんな人が活躍できる環境だと思います」
小倉はさらに自分の仕事に集中してもらえる環境を、統括リーダーとして築き上げています。2020年からはテレワークの頻度が増え、慣れないなかZoomなどを使いストレスのない働き方を心がけてきました。たとえば毎日の終業前に行っている夕会では、最近の楽しかったことを話すなど雑談スタイルにして、気持ちよく業務を終えてもらえるような取り組みをしています。メンバーの関係性を深めるきっかけにもなればいいなと思っています。
小倉 「新規プロダクト開発にも業務委託として参画頂いているメンバーがいますが、契約範囲内で正社員と同じ情報を共有できている状態を心がけています。プロジェクトチームとして新しい取り組みにチャレンジできる環境を作りたいと思っています」
最初のサービス開発を終え、若手メンバーからも、次世代プロジェクトに参画したいという声をたくさんいただきました。プロダクトとして正式にローンチするころには、より規模の大きなチームに成長しているでしょう。
2030年に向けて、新たな弥生をつくっていく小倉の奮闘はまだはじまったばかり。時代に合わせた社内カルチャーも整えつつ、製品の刷新にも引き続き取り組んでいきます。
※この記事は2021年1月に他媒体に掲載したものの転載です。