社内の「当たり前」を活かして技術勉強会を定着・拡大させた話
弥生の開発本部では「もくテク」という社員が自主運営をする勉強会を実施しています。
かつてはオフラインで実施していたものの、新型コロナウイルス禍により一時中断……。その後有志の声掛けにより復活、今では継続的に開催する弥生のエンジニアチームを代表するイベントに育っています。
今回はそんなもくテク再開と拡大の立役者である石下と武に、メンバー主導の勉強会を続けていくコツについて聞きました。
弥生のエンジニアチームの雰囲気を知っていただくほか、「社内で勉強会を開きたいけどどうするべきかわからない」「勉強会を開いたものの、なかなか継続できない……」といったお悩みを抱えている方の助けにもなれば幸いです!
◇もくテクの今まで
2016年6月: 第一回もくテクスタート!
2020年2月:コロナ禍でイベント中止
2021年5月:オンライン開催に形を変えて再開
2021年10月:弥生賞※としてもくテクの取り組みが表彰される
2022年6月:「弥生品質を支えるQAエンジニアの取り組み」がもくテク初の申し込み者160名超え!
スピーカーの紹介
きっかけはエンジニアの「やろうぜ」
ーコロナ禍もあり一度は休止したもくテクですが、どんな流れで再開に至ったのですか?
石下:再開する半年ぐらい前にエンジニアと人事とで「再開したいよね」と話をしていたので、私から混ざりに行きました。実はその時にはみんなバタバタしていて立ち消えになってしまったのですが、また数か月して「やろうぜ」という話が持ち上がったので私と人事とで段取りを決めてやっていきました。
―再開しようと思ったきっかけは何ですか?
石下:弥生はせっかく色々と面白いことをやっているのに、外部に知られていなくてもったいないなと感じていて。オフライン時代のもくテクはそういう「意外と知られていない弥生の取り組み」を知ってもらう目的でもやっていたので、それを再開できたらと……。待っていたけど誰もやらなそうだったので(笑)、やっちゃえと思い始めました。
ー武さんはどのようなきっかけで参加したのですか?
武:私は2020年に弥生に中途入社したのですが、入社前に一度オフラインのもくテクに参加していました。ですが入社した時にすぐに新型コロナウイルスが流行ってしまい、もくテクはストップしていました。
「またもくテクやらないのかな?」と思っていたところ、ちょうど石下さんが運営メンバーを募集するslackを投稿したので、それきっかけで参加しました。
ーおふたりの運営としての役割を教えてください。
武:役割としては毎月のイベントの運営をしたり、運営メンバー全体に関わる横断的な施策を考えたり実行したりしています。
―もくテクのメンバー体制について教えてください。
石下:開発本部のメンバーを中心に、人事にも参加してもらっています。集客や告知のほか、イベントのサムネイルとかを準備していただいてて。いつも「こういう感じで」っていうとイイ感じのが上がってきて助かってます!
私はその中で毎月のイベント運営や運営メンバーの横断的な施策をやっています。
武:新卒向けのイベントをした時とかは、人事とエンジニアの担当者が一緒にどんな会にしていきたいかという企画を立てて、一緒に作っていった感じでした。
当たり前のふりかえりがもくテクを育てた
ーまずはどんな目標でスタートしたんですか?
石下:再開したきっかけが「弥生の取り組みを知ってもらいたい」というモチベーションだったので、「まず一年ぐらいは毎月いろんなテーマで開催して、人が集まるようにしよう」「もくテクを社内外に広めていこう」の二つを目標として立てました。
ー再開前のもくテクの参加者が多くて20名程度だったのが、今ですと開催一か月前で既に40名近くの申し込みがありますよね。目標がしっかり達成されていると感じますが、秘訣はありますか?
石下:毎回実施するだけでなく、ふりかえりもセットでやっています。もともと弥生の開発本部の文化として「プロジェクト終了後に必ずふりかえりをする」というものがあったので、それが業務外であっても自然にできました。それが特別だとはあんまり思っていなくて、当たり前にふりかえりをして次に繋げることができていると感じます。
目標に関しては武さんが「もっとこうするといいんじゃないか」と考えてくださっていたので、ふりかえりのなかで達成率などを確認しながら細かな改善を続けています。
立ち上げた次、広めるために必要なこと
―広める、という点では最近もくテク自体の注目が高まっているのかなと感じます。ずばり好評の理由とは?
武:特に社外に対してですが、まずはもくテクというイベントを知ってもらわないといけないという気持ちがありました。そのためにはイベントを良くするだけじゃなくTwitterなど外部の人が見る場所でイベントを盛り上げたりすることをしていきました。
ー手ごたえはどうですか?
武:イベントに対して「#もくテク」でツイートやRTしてくれる人が増えてきて、「人気が出てきているのかな?」と思いました(笑)
―社内に対してはどのようなことを行ってきましたか?
武:もくテクの告知を出すほか、FY22の期初に開発本部のメンバー向けに「もくテクに対する意識調査」をしました。
せっかくならいろんな人に登壇してほしいなという気持ちがあって、開発本部の人がもくテクに対してどう思っているのか、参加したことがなかったら何がネックになっているのかなど聞きました。
それを踏まえて登壇経験がある人を40人にするという目標を立て、結果40数名の方に登壇いただけたので、こういうヒアリングも効果があったと感じています。
ー「こうしたい」という目標をしっかりたてて、それを達成できるように活動していくという動きが今のような発展につながっているんですね。
武:最初にキックオフを実施してどういう姿になりたいかを決めていく。その上で明確な数値目標を立て、都度ふりかえり、改善をして、毎月開催で軌道に乗せていく。これが大事だったなと思います。
コンテンツだけでなく雰囲気作りにも気を配る
ーコンテンツも様々なバリエーションがあって興味を持つきっかけが多いような気がします! 普段のもくテクのテーマはどういう風に決めているのですか?
石下:毎回重ならないようには意識してます。テーマ探しとしてはサービスのリリースや社内会議などの資料からヒントを得ていたりします。それ以外には今の流行っていることにアンテナを張って、弥生だと「こういうことができそうだ」と探したり……いろいろです。
以前からの傾向として品質についての回が注目度高かったので、それに対してはオンラインでも引き続きやってきたいと思っています。
―テーマ設定のほかに工夫している点はありますか?
武:今は時勢柄オンライン開催になっていますが、オンラインだとどこにいても参加できる反面、見ている人からするとさみしいとか、一方的に配信されているような気持ちになりかねないと思います。なのでもくテクではチャットでコメントを書いた方との相互のコミュニケーションや、「リアクション機能を使ってぜひ盛り上げて下さい」とアナウンスするなど、一方的じゃなく一緒に楽しめるイベントになれるように気を付けています。
ーたしかに、以前拝見した時アットホームというか、気軽に話してくれているなという印象を持ちました!
もくテクのおかげで変わったもの
ーもくテクを再開してからの社内の変化はありますか?
石下:どうだろう……(笑)
武:最近あった嬉しかったことだと、Slackでもくテクを告知したらマーケティング本部の営業の方が「もくテクを見てみたい」ということを書いてくださったんです。もちろん他部署の方もウェルカムですよとお声がけしたらイベントに実際にいらしてくださって。イベント後に「他の本部の人にも広めます!」と言ってくださったのがうれしかったです。
開発本部の取り組みを他の部署の人にも伝えて、相互的にいい影響が生まれていると思うとすごくいいなと思いました。
石下:弥生賞をいただいた時も嬉しかったんですけど、その時はまだ半年で「これから頑張るぞ」という時だったので、まだまだ道半ばだけどこんな状況でもらっていいのかなという思いもあり……。一年半やってきた今、さっきの他本部のことなんかがあって、広まってきたんだなあという実感がありますね。
ーもくテクに参加した外部の方の声はどうですか?
武:今、最近のイベントでどういう声があったかというのを見てみたんですけど
石下:さすが(笑)
武:2022年8月に開催したの「業務効率化」の回だと、若手の方からいろいろな方が発表していたのでそれについての感想だと思うんですが「いろいろな立場の方がこういうオープンな場で話す機会があることに驚きました」という反応がありました。
テクニカルリーダーの回では「弥生のリーダー陣が仕事やメンバーについて考えることが聞けてよかった」という声がありましたね。やっぱりどういう文化で、どういう人たちがいて…というのが少しでも外に伝わっているのかなと思いました。
ーエンジニアに限らず、もくテクを見ると「こういう会社なんだな」と知るきっかけになりそうですよね
石下:もくテクの裏目的じゃないですけど、弥生の「スーツで働いてるんじゃないか」みたいな誤解を解きたいと思っていて。参加後のアンケートで弥生に対しての印象がよくなったかを聞いてるんですけど、「よくなった」と答えてくださる方が多くて、いろいろ貢献できているんじゃないかと思います。
二人の印象深い回
ー印象に残っている回、もくテクを象徴する回はありますか?
武:実は自分が運営の回ではないんですが、「弥生の新卒エンジニアってどうなの」という会です。理由としては、新卒の方々がどんな経験をしたのか、どんな変化が生まれたのか、今までの状況なんかをすごく生き生きと話していて楽しそうで……!
私が就活生の時は説明会の一環で若手の方の話を聞く会はあったものの、どちらかというと緊張しながら聞く場だったので。こういう風に楽しげに、気軽に参加できるイベントがあるって「いい時代になったな~」と思わず感じてしまいました(笑)
来年もやれたらいいんじゃないかなと思ってます。
石下:自分の担当回だと freeeさんとのコラボ回ですね。
ー社内外からの注目度も高かったですよね。どんな経緯でコラボに至ったんですか?
石下:もともと一年くらい前にLTを外部募集した時にfreeeの方が発表してくれたんです。その後、その時のご縁からコラボしてみないという話があり、実施に至りました。
ー事前に打ち合わせなどはしたんですか?
石下:普段はお互い競合として見てしまいがちだよね、って話をしながら、今回はお互いを称えたり、ユーザーさんの喜びの声を愛でようとか、とにかく違う方向で行こうという話をしました。
一応二回ぐらい事前に打ち合わせして、だいたいこういう話をしましょうっていうのは決めていたんですけど。どうなるかはドキドキしていました(笑)
もくテクとして最初に掲げた「技術に会社の壁はない」という理念が、まさしく競合とされるfreeeさんと開催できたことによって体現できたのではないかと思います。
もくテクをひとつのコミュニティに育てたい
ー最後に、今後もくテクを通してやっていきたいこと、目指すところを教えてください!
武:ちょっとふんわりした話になっちゃうんですけど、もくテクっていうイベントじゃなくてもっとコミュニティに近いものに育てていけたらという思いがあります。
一方的な配信の場ではなく、技術をきっかけに自分のことを話したり学んだりできる場所なんだって社内外問わず捉えていただけたら、もっともくテクが活性化するんじゃないかと思いますし、楽しくなるんじゃないかと思います。
ー外部に開けたSlackチャンネルを作るとか……?
武:うーん、具体的になにか仕組みを作るというよりかは、もくテクというイベントが「いつも帰ってきたい場所になる」というか。
石下:そのうちオンラインとオフラインのハイブリッドでやってみたいという話が上がっています。
ーオフラインで参加者の顔を見ると、「あの人に会いに行こう!」という気持ちになるかもしれないですね
石下:あと、今は結構発表やディスカッションメインになってますけど、対面での懇親会もできるようになったらいいなと思います。オフラインの頃は終了後にフランクにコミュニケーションをとれる場があったので。できるかどうかは今はちょっと、ですけど。
ーその時はまた一段成長したもくテクが見られそうで楽しみです!ありがとうございました!
★もくテクは定期開催してます!
参加無料、入退出自由になっておりますので、ご自分の業務に関わりがある方も、ちょっと雰囲気を覗いてみたい方もぜひ気軽にご参加ください!
10月のテーマは「読んでよかった技術書・ビジネス書LT 」です。
★アーカイブのご紹介
2022年7月開催:【質問募集】教えて!テックリード
内容をログミーTech さんに取材いただきました!
もくテクの詳しい内容はこちらをどうぞ!
2022年9月開催:会計データの利活用トーーク
YouTubeアーカイブがありますので、当日のチャット欄の盛り上がりとともにお楽しみください!