弥生がスモールビジネス事業者向けの事業承継支援サービスを始めた理由
「事業承継ナビ」はどんなサービス?
―2022年6月29日に開始した「事業承継ナビ」はどのようなサービスですか?
土屋:「事業承継ナビ」は、『事業承継を「わかりやすく」「あんしん」「かんたん」に』をコンセプトに掲げた、スモールビジネス事業者向けのサービスです。事業承継について理解を促すコンテンツと、専門家の相談先を案内するなど事業承継の検討や実行を支援するコンテンツで構成されています。
スモールビジネスでは近年、経営者の高齢化が進む一方で、少子化により後継者の確保が困難になっています。事業は継続したいが、後継者がいないという理由で廃業せざるを得ない状況になる前に、事業承継という選択肢を事業者が知っておくことで、事業存続の可能性は大きくなります。スモールビジネス事業者にその選択肢を提供、支援をしたいという思いから「事業承継ナビ」を立ち上げました。
―「事業承継ナビ」の特徴を教えてください。
土屋:大きな特徴は、弥生のお客様である中小・零細企業のスモールビジネス事業者に特化している点です。また、すでに弥生が提供している「資金調達ナビ」や「税理士紹介ナビ」と連携しているため、合わせて活用いただくことができます。
例えば、事業承継する際に補助金や融資が必要という話が出てきた際は「資金調達ナビ」を、相続税やM&Aの話が出てきた際には「税理士紹介ナビ」で税理士さんを紹介してもらうこともできます。
―「事業承継ナビ」には「弥生のあんしんM&A」というサービスも含まれていますが、こちらはどのような内容ですか?
土屋:「弥生のあんしんM&A」は、スモールビジネス事業者を想定したM&Aマッチングプラットフォームです。大きな特長は、ほとんどの事業者が初めて会社を売るというところを考慮し、手続きの入り口のところで躓かないように工夫をしている点です。会社を売る際には弥生とパートナーシップを組んでいる「あんしんエージェント」と呼ぶM&Aの知見を持つ弥生PAP会員(弥生の認定する税理士・会計士に協力いただき、自社の情報を「弥生のあんしんM&A」に掲載するところからお手伝いします。
―最初の段階から、弥生PAP会員にご協力いただくのはどうしてでしょうか?
土屋:理由は、税理士が事業者の最も近くにいて、会社の状況をわかることができる立場だからです。特に顧問先と、顧問税理士の関係だと、経年や毎月の財務状況や事業の動向を把握していますので、相談がしやすく、そのような立場から事業承継を支援することができるため、信頼関係の下、よりスムーズな事業承継(M&A)が行えると考えています。
―弥生PAP会員がM&Aを支援することで、業務領域を広げられる可能性がありますね。
松尾:「あんしんエージェント」は弥生PAP会員への付加価値サービスの一つとしてスタートしました。弥生PAP会員の皆さまにとっても、「弥生のあんしんM&A」に携わり顧問先のM&Aを支援することで、会計事務所自体の業務領域を広げていただくことにも寄与すると考えています。
「あんしんエージェント」としてM&Aを支援する弥生PAP会員は、M&A支援の経験が豊富な事務所や、今後、積極的にM&Aを業務に取り入れていきたい事務所を想定しています。今まで、M&A業務を行ったことがない弥生PAP会員に対しては、「M&A学習コンテンツ」や「M&Aサポートツール」だけでなく、M&A支援の経験が豊富なPAP会員がサポートする伴走型サービスの提供をしていくことも考えています。
また、会計事務所の業務効率化支援として、「記帳代行支援サービス」など提供していますので、サービスを活用いただきながら、業務効率化によってできた時間で、新しい業務領域への挑戦をご検討ください!
サービスを通じて、これから目指すこと
―今後の展開はどのように考えていますか。
土屋: まずは、「弥生のあんしんM&A」を先行している他のM&Aマッチングサービスと同じくらいに認知されるようにしていきたいです。後継者がおらず廃業を選ばざるを得ない人を減らしたいと思うので、まずはこのサービスを触れていただきたいです。
松尾:サービスを充実させていくとともに、いい売手が入って良い買手があって成立する仕組みとなっているので、うまくそのバランスをとっていきたいと思います。
堀田:他の事業支援系のサービスとともに、毎月改善を行っています。あんしんエージェントを通じて、売手の案件をより簡単に掲載しやすいように、買手はより希望通りの案件が見つけやすいような環境を作ることが大切だと思います。システム面やマーケティングの施策など、やらなきゃいけないことはまだまだ色々ありますね!