子育てとキャリアを両立する「時短PM」──長期的に成長するチームづくりの極意とは
外資系投資銀行を経て弥生へジョインした潮田 明子。2020年現在プロジェクトマネージャー(PM)として働く彼女は、子育て中のママでもあります。自身の経験や性格を生かした時短PMという働き方を確立し、自分にしかできない組織貢献を果たしている彼女の仕事観をご紹介します。
徹底的に無駄を省いたモノづくりを突き詰める
長年エンジニアとしてのキャリアを歩んできた潮田ですが、大学は農学部に所属していました。大学院を卒業するにあたって彼女の進路選択を決定づけたのがモノづくりへの興味です。
潮田 「小さいころからハサミやのり、セロテープなんかを使って工作を楽しんでいました。モノをつくることが好きだったんです。経験がないからハードウェア企業に入ることは難しいだろうけど、ソフトウェアの領域なら挑戦できるかもしれないと考えました」
入社したのは、製造業に関するソフトウェアを開発するベンチャー企業。エンジニア未経験ながらも、プロダクト開発を一つひとつ経験していくことでエンジニアとしての力を育てていきました。
潮田を大きく成長させ、彼女の仕事観を確立したあるプロジェクトがあります。工業製品の金型をつくるのに欠かせないソフトウェアの開発でした。
潮田 「多くの金型は鉄の塊をドリルで削ることでつくられます。そのドリルが削る軌跡というのはソフトウェアで計算するんです。設計通りに削れているかを測定する機能の開発にあたり、最初に一般的な測定工程を調べてみると、素人目に見て『無駄な工程』が存在したんです」
潮田が見つけたのは、企業の伝統や業界の慣習などが弊害となって、これまで無視されてきたポイントでした。潮田はお客様から、工程が省けない理由をつぶさにヒアリングし、ひとつずつ課題をクリアしていくことで、全体の3割もの工程を削減することに成功したのです。
潮田 「目的がわからない状態で、そのまま我慢してやるのが苦手なんです。もちろん根拠なく反発するのではなく、その測定ソフトのときには、測定分野に詳しい専門家にアドバイスを求めたり、自ら専門書を読み解いたりして、本当に無駄な工程かどうか調べ、関係者が納得できる状態をつくっていきました」
徹底的に無駄を省くことで、より良いモノやしくみを生み出せる。そしてそれがより良い結果をもたらす。潮田のモノづくりにおける信念は、このころに形づくられました。
日本の発展に能動的に貢献するエンジニアリングを
入社して3年が経つと、潮田は新たな成長環境を求め、外資系投資銀行のエンジニアとして転職しました。高いスキルを持った人材が集まる環境は、潮田の業務レベルを飛躍的に高めてくれました。一方で、自分が持っていたある志向性に気づくきっかけとなり、2年ほどで転職を決意します。
潮田 「グローバル企業で働いて実感したのは、自分は日本が好きだということ。思えば1社目も、新たな産業革命を起こし日本を元気にしようというビジョンを掲げていました。日本社会に貢献したい、そんな想いを共有する組織で働くことに幸せを感じるんです。できれば、貢献している感覚をよりダイレクトに感じられる場所で働きたいと考え始めたころ弥生に出会いました」
日本の発展に能動的に貢献するという弥生のミッションに強く共感した潮田は、当初こそエンジニアとして入社しましたが、さまざまなプロジェクトに関わり、組織そのものを動かす人材へと成長していきます。
潮田 「自分の仕事以外にも、これやらなきゃ、あれやらなきゃというのが見えてくるので、そういう球を拾い続けていくうちに、役職も変わっていきました(笑)。
たとえばある機能を開発しようとするとき、弥生の他の製品に似たような機能があるから、会社として統一性を持たせるべきと考え、そちらのプロジェクトにも関与する。そんな動き方をしちゃうのは、やっぱり無駄なことが嫌いという性格が大きく影響しているのかもしれないです。苦労が増えても、それで喜んでくれる人がいるなら嬉しいですしね」
時短PMという働き方
縦横無尽の働きをする中で、潮田は自分の適性をプロジェクトマネージャー(PM)という仕事に見出しました。
潮田 「人材を適材適所に配置することが得意なんです。ひとりだと個性がひとつしかないから自分でやるしかない。でも、チームだとお互いを補いあうことができます。人の個性を引き出したり、組織にフィットさせたりする。やりたいって想いを持っている人がやりたいことをやれる状態をつくれれば、組織として一番いいアウトプットが出せると思っています」
産休を経て時短勤務になってからは、いくつものプロジェクトを最適化させるという、潮田にしかできない価値発揮をしています。
潮田 「プロジェクトの初期計画をチェックして、目的や目標、コンセプトが適当か、前提/制約/リスクが網羅されているか、予防処置やバックアッププランは適切かといったこと見ています。これまで弥生でいくつものプロジェクトを手掛けてきた経験をもとにして、客観的かつ横断的に見るからこそ、組織全体での最適化を図ることができています」
弥生の組織そのものを強くしていこうという想いが年々強まっている潮田。近年では本部運営業務にも積極的に参加するようになりました。
潮田 「どこのプロジェクトにも所属しない仕事全般を担うイメージです。たとえば、コロナ禍ではリモートワークを実践するために、Zoomなどのツールがインフラチームによって導入されました。大事なのは、これをどう使うかです。Zoomを活用して仮想オフィスを構築しコミュニケーション量の減少を抑えるなど、その時々の組織課題を解決するために具体的な施策を検討、実行しています」
長期的に成長する組織を目指して
組織全体に目を配る存在として採用活動にも関わる潮田は、彼女なりに弥生に必要な人物像を描いています。
潮田 「やっぱりチームで働くこと、人と関わることが好きというのが重要なポイントではないでしょうか。モノづくりは人がすべてです。弥生のプロジェクトは規模の大きなものがほとんど。チームとして最適化されないと前に進められません」
潮田は弥生という組織自体を成長させていくことが、そこに属する社員の成長にもつながるとも考えています。
潮田 「長期的な視点で2年後、6年後、あるいは10年後にも、ベストなものをベストな体制でつくり続けるためには、自分ひとりの成果や成長に固執していてはいけないと思います。資産として次につなげていくためには、チームで協力して全員がレベルアップすることを目指すほうが良いのではないでしょうか」
チームが強く成長し続けるからこそ、メンバーも長期的な成長環境を獲得することができるというのが潮田の持論です。
潮田 「長期的な成長を目指す組織だからこそ、より大きな目標を描くことができます。『本当はこうしたほうがもっと良いモノがつくれる!』と思っているのに、なんらかの理由で断念せざるを得ない、そんな環境に身を置いてしまっている人にこそ、長期的な視点でモノづくりに取り組む弥生で力を発揮してもらいたいですね」
日本の発展に能動的に貢献するという弥生のミッションに共感しジョインした潮田も、入社して11年が経ちました。自身が生き生きと働ける環境を求め入社した彼女は、いつの間にか環境をつくる側に。想いを共にする仲間共に、弥生の未来を切り開いています。
※この記事は2020年10月に他媒体に掲載したものの転載です。