【中小企業の日2023】中小企業育ちの子どもたちが見つけた「仕事は生きがい」という価値観
中小企業の日をご存じですか?
中小企業基本法(1963年)の公布・施行日である7月20日は「中小企業の日」と定められているほか、7月の1カ月間が「中小企業魅力発信月間」となっています。
中小企業の事業支援をおこなう弥生として、ぜひこの「中小企業魅力発信月間」の盛り上げの一助になりたい!中小企業の魅力をお伝えしたい!と考えていたところ、社内にご実家が中小企業(個人事業主)の方が複数いたことに気付きました。
「中小企業の経営者」ではなく、「中小企業の経営者を親に持つ人たち」の語る中小企業の魅力、リアル、そして彼らの思いをぜひご覧ください!
今回お話いただく人たちとご実家の紹介
【検証】やっぱり実家のシステムも弥生会計なのか?
山田:はい。というか入れてもらいました。全部手書きでやっていて、効率が悪いっていう話があって。結局自分が夏休みに帰った時に全部サポートして設定して導入しました。
清水:大変言いづらいんですが……導入しておりませんで(笑) 税理士先生一本でお願いしています。あ!でも周りはみんな使ってます!周りは!
大江:うち2社入れてまして、ミロクさんとBSLさん……
一同:(笑)
大江:契約している税理士さんからの指定ということもあって、ミロクさんが会計で、BSLさんが請求書とかですね
山田:請求書はMisoca使えMisoca!(笑)
子どもたちの「中小企業あるある」
ーアイスブレイクがてら、中小企業あるあるって思い浮かびますか?
山田:買い物するときに全部領収書もらう。
清水・大江:ああ~。
山田:普段トイレットペーパーを買うにしても自宅用と職場用があるので、籠を分けて「こっちだけ領収書ください」っていうとか。というか慣れてくるとお店側が最初から会社名で領収書切ってくれる(笑)
大江:家に電話がよくかかってくるので、電話番は小学校くらいの時からやってましたね。
山田:「ちょっと下の階で電話鳴ってるからあんた取ってきて!」とか言われたりね。父親のこと「社長いる?」って呼ばれるとか。
清水:というか二階の自宅スペースにも子機あるのでいつでも取ってました。
山田:うちは電話だけじゃなくて人も来るんですよね。請求書が届いたら「あ、お世話になります~」って受け取ってました。子どもながらに。
大江:お歳暮・お中元いっぱい来たりしません?それでジュース飲みまくるみたいな。
清水:多すぎるから放課後は家に友達呼んで、ジュース持ち帰ってもらってました(笑)
山田:年賀状もいっぱい来るし書かなきゃいけないから、プリントゴッコで親が印刷して私が机に並べていくみたいなこともしたなあ。
清水:わかる!!!!!!
ずっと身近なバックオフィス業務
ー電話番や年賀状など、子どものころから家業のお手伝いをしていた皆さんですが、やっぱりバックオフィス業務を身近に感じていましたか?
清水:そうですね。父が夜な夜な領収書を縛って結んでて……あの黒い紐で。
山田・大江:ああ~(笑)
山田:うちはバインダーでしたけどね。何月って書かれた分厚いやつ。
清水:わかります!あと私は周りも中小企業の友達が多かったので、決算期に友達の家に遊びに行くと、お父さんお母さんが紐でくくってるとか……。そういうのを見てました。時代ですかね。
ーいま皆さんは弥生に勤めていて、それぞれの家業はご家族がやっておられるということですが、今もご実家のお手伝いをしたりするんですか?
大江:余裕で(笑) うちはジーパンの工場なので、実家帰るとジーパンを畳んだりとか、針が入ってないかの検針作業やったりとか。普段は資金調達とかですかね。コロナ禍のときは助成金や補助金の申請を上げないといけなかったので、そういった書類を弟と一緒に準備したりしました。
ー大江さんは普段の業務からこういった情報を集めて記事制作をしていたので、今の仕事が直結してますね
清水:うちは飲食店なので年末はお手伝いします!年末は年越しラーメンとか出すので……!
山田:弥生会計の導入以外だと、インボイス制度や電帳法とかの準備をしました。
中小企業の子どもたちと職業選択
ーリアルな中小企業を見てきたお三方が弥生と出会うのは運命のようなものも感じますが、どういった経緯なんでしょうか?そういえば、山田さんも大江さんも大学は会計系ですよね?
山田:そうです。ベンチャー企業とかスタートアップを研究するようなゼミでした。家業の影響かというと……まあ面白そうだなってのもあったんですけど、「文系の学部で一生食いっぱぐれなさそうな学部どこだろうな」って思ったとき、経営だなと。
大江:私も山田さんに似てて、最初は数学科に行きたかったんですけどよくよく聞いたら進路が教師くらいしかなさそうだぞと。じゃあ会計とか経営の道の方がやっぱり自分に合っているのかなって。
ーなるほど。「食いっぱぐれない」というのは、幼少期からシビアな金銭感覚を持っている人ならではの視点な気がします。
大江:中小企業のうちって、やっぱり両親共働きになるんですよね。お金を渡されて「弟と今日の晩御飯これで買っておいて」みたいなこともあって、自分が弟の分もしっかり管理しなきゃいけないって感覚ができるのかも。
ーそこから弥生にたどり着くまではどんな経緯が?
大江:学んできた会計と中小企業のお役に立ちたいという軸だけがあって、そこに弥生がぴったりはまりました。親はやっぱり「ある程度知名度のある会社じゃなきゃ不安」って言ってたんですけど、弥生に入社するよって言ったらポジティブな反応を示してくれました。元からそういった軸やバックグラウンドがマッチしてたんですけど、入社してからはお互いの解像度が上がった気がしました。実家からは数字系の相談を受けることが多くなりました。実家の決算書渡されて「どう思う?」みたいな(笑)
ーちなみに清水さんは?
清水:私は実はゆるく文学部を選択したタイプなので……。でも最初の一社目を選択する時、サービス業が一番身近に感じて選んでいるので、やっぱり影響していたんだなって思います。
中小企業の経営を見てきたからこその人生観
ーぶっちゃけ、将来的に起業や経営をやりたいと思ったりしますか?
清水:実は、私は全然したいと思ってないんですよね。目の前で中小企業や個人事業主の大変さ、やりたいことがうまくできない歯痒さをずっと見てきたので、私は「そういう人たちを支援したい」って思いの方が強いです。やっぱり、やりたいことがあっても資金が潤沢にあるわけじゃないですし、実際に父がやりたいことを断念せざるを得ない姿も見てきました。あと周りの友達も似たような経営者家庭が多かったので、友達みんなで集まって誰かの家に行くと、だいたいお互いの親、社長同士がそういう話をしているわけです。それを聞いて子どもながらに「大変なんだなあ」って思ってましたね。
大江:私も清水さんと同じで本業にしたくないタイプです。ただ、家業なので困った時は助けたいです。今フロントに立ってなにかやるっていうのは弟に任せてますけど、何度か迷ったこともありました。過去に親から「本気で家業に戻ってきたいならそう言ってくれ」って30手前くらいの時に言われたんですよね。ただ、私、繊維とかアパレルに一切興味がなくって(笑) うちのジーパンっていわゆるブランドものしか扱ってないんですけど、そういうブランドにも本当に興味なくて……。反対に弟はアパレルやブランドが好きだったので、やっぱり興味ある奴がやった方がいいだろって話し合って、今は後方支援に徹してます。
山田:正直二人と似ているんですが、私も本業にするのは違うなと思っています。ただ私の場合は理由が少し違って、自分はあんまりそういう運命じゃないんだろうなって。というのも、人生のうちで自分が就職するとかそういうピンポイントなタイミングでリーマンショックがあったりして。その時は建設業もひどいことになっていて、正直実家も「もうやばい」って話になったりとか。親としても、継がせるとは言いにくい状況もありました。あとうちも今弟が実家に戻って仕事を手伝っているんですが、金勘定が全然できない子で(笑) 経営という観点ではまだまだ社会経験が足りてないので、そういうのを支援してあげたいなって思ってます。
ー自分の価値観、人生観に影響を及ぼしていると感じることってありますか?
清水:仕事において2つあって。実は父は脱サラで飲食店を始めたんです。だから仕事はやりがいがあることとか、楽しいことをやるのが当たり前って思っていて、楽しいことがあるから、しんどくてもつらくても、夜遅くても頑張れる。私もそんな風に仕事を選びたいなって思っています。今、中小企業が本業に集中できる環境を作る弥生を選んで勤めているのは間違いなく家業の影響ですね。
山田:実家は創業が1964年とか東京オリンピックの時なので、おじいちゃんも父親も社長。そういう経営者家庭で育つと、いつも周りに従業員がいて、ギブアンドテイクの考え方が染みついているなと感じます。従業員に対して何か提供するから、従業員も働いてくれる。人付き合いや横のつながりの重要性を重視というか、そういうものありきで成り立っているんだと意識するようになりました。今自分はサラリーマンとして組織の中で働いているんですけど、だからこそ大事だなと思いますね。
大江:1つ挙げると「会計の知識であるとか、数字やお金関連のことちゃんとしないとリアルに路頭に迷うんだ」ってことですかね。実はうちたぶん4,5回は倒産しかけてるんですよ。原因はお金や数字のことをわかってないとかで。数字周りをしっかり理解していないと、自分たちも生きていけないし、従業員さんみたいな周りにも迷惑をかけてしまうって。
仕事は「生きがい」。最も身近な経営者から学んだこと
大江:あと私の母親がよく「私一切ストレスないから」って言うんですよ。実際めちゃくちゃ仕事をしていて、大変だと思うんですけど、私の前でも従業員さんの前でもつらい顔を見せないんです。まるで生きがいのように仕事をしてる。そういった生き方ってすごくいいなって思い、私もあまりオンとオフを感じさせないというか、趣味のように仕事をするっていうのを意識しています。
山田:わかる気がする。うちの親父も「死ぬまで仕事する」って言ってます。たぶん生活の一部というか、人生の一部なんだと思います。
清水:私の親もそうです。忙しいんですけど、「お客さんと向き合うのに忙しい」というすごくポジティブな考え方で、「心を亡くす」ような状態を見たことがありません。少し暗く聞こえてしまうかもしれませんが、父は病床で最期までずっとレシピを書いていたんです。「あの人にこれを食べさせてあげたい!」って。本当に、仕事を全うして亡くなったのだと思います。私はそういう生きがいを見つけられた人の支援をしたいなってすごく思います。
編集後記
約1時間のインタビューは、最初から最後まで共感と笑いの絶えない賑やかなものでした。インタビュー前は、ともすると苦労した話が中心になるのではないかと思っていましたが、実際には苦労をはねのけ、それすらも笑いとパワーとして進んでいくようなエネルギッシュで中小企業への愛に溢れたエピソードばかりで正直驚きました。
「中小企業の経営者が本業に集中できる環境を作る」という弥生の想いを常に意識していた結果、逆に「中小企業の経営はつらく、過酷なものなのだ」という一面のみを切り取ってしまっていたのかもしれません。もちろんそのような面もあるのだと思いますが、仕事こそを人生の一部、生きがいとしている方々の思いに共感し、一緒に前へ前へと進んでいけるような会社でありたいと思わせるインタビューでした。(庄村)
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