弥生株式会社 公式note
“お客さまに気付かれない”機能を目指したチームが弥生賞グランプリを受賞した話
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“お客さまに気付かれない”機能を目指したチームが弥生賞グランプリを受賞した話

弥生株式会社 公式note

はじめまして、開発本部の牛尾です。
10月に行われた社員総会で、私のチームが「弥生賞 グランプリ」(社内MVPにあたる賞)をいただくことができました!

この賞をいただいたタイミングで、弥生賞獲得までの道のりや、その中での私の思い、経験について、お話ししたいと思います!

・・その前に、わたしのバックボーンについて、少しお話しします。

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 2016 年 3 月に弥生に入社。前社では、BI ツール(Windows ネイティブアプリ)の開発に従事していました。
弥生では、YAYOI SMART CONNECT(Web アプリ)のテクニカルリーダーを担当。要求定義から設計、実装、それらのレビューといった業務を日々担当しています。

プライベートでは、妻と3歳の子どもの3人で暮らしています。
趣味はラーメン二郎。一番多いときで、週に2、3回行ってました(あの頃は若かった・・!)

今回の受賞内容

弥生賞グランプリの受賞内容としては、「YAYOI SMART CONNECT の自動仕訳機能の刷新」です。YAYOI SMART CONNECTとは、弥生が提供するサービス「スマート取引取込」の自動仕訳システムのこと。

自動仕訳というのは、銀行明細、クレジットカードや電子マネーの取引のデータを、会計ソフト上で自動的に仕訳し、会計データに変換する機能です。もともとは、通帳を見ながら一件一件を手入力していた仕訳を、自動で取込、自動で仕訳してくれる、お客さまにとって、業務効率化に直結するサービスです。

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弥生株式会社 ホームページより引用

究極的には、これらの存在に気付かなくなるくらい、自然で正解率の高い自動化されたサービスを目指していきたいです。日々の取引が自動で仕訳されて、会計ソフトに反映されることが、当たり前になる世界を目指しています。

その「存在に気付かなくなる」に少しでも近づけるため、2021年8月にYAYOI SMART CONNECTの推論エンジンを新しいものに刷新しました!そして、この推論エンジン刷新により、推論精度の向上、また保守性・拡張性が向上したことを評価され、今回受賞に至りました。

刷新前の課題と刷新内容

刷新前は、ベイズ推定という統計手法を用いていました。

その際は、推定を行うために保持しなくてはいけないデータ量が多くなるため、例えていうならば、両手いっぱいに教科書を抱えている状態でした。新しいパラメーター(情報の種類)を加えることも難しいので、精度にも限界がきます。

また管理対象のデータが膨大であるため、保守という観点でも課題がありました。

一方で、この推論エンジンは、数年に渡って改善し続けてきたものでもあります。お客さまからも「昔は精度が高くなかったけど、最近は精度が上がったよね!」「もう手入力には戻れないです」という嬉しいお言葉もいただきます。

改善し続けてきた既存ロジックを一新するのは正直大きな判断でした。しかし、自動仕訳機能の更なる発展のためには不可欠な判断であると考えたので、今回の刷新を決断しました。

刷新内容の概要は以下の通りです。やや専門的になるのですが、興味のある方はぜひ読んでください。

◎前提
・摘要と呼ばれる取引の内容を示す文字列から勘定科目を推定している
・教師あり学習を用いて、学習モデルを生成している

◎刷新前(ベイズ推定)
・摘要に含まれる単語を文字列情報のまま加工して、学習モデルで保持する
・文字列情報として保持するため、データサイズが膨大になりがち
・単語の意味を解釈している訳ではないので、未知語に弱い

◎刷新後(ニューラルネットワーク)
・摘要に含まれる単語を数値情報に変換・圧縮して、学習モデルで保持する
・数値情報(n次元数ベクトル)に圧縮して保持するため、データサイズが抑えられる
・数値はランダムに割り当てている訳ではなく、意味の近い単語は近い位置にマッピングされる(近い数値になる)ので、日本語としては既知だが摘要としては初めて登場する単語がある場合に、正しく仕訳できる可能性がある

刷新するにあたっての取り組みとポイント

弥生では2017年から、機械学習の専門家と共同でYAYOI SMART CONNECTの自動仕訳機能の研究を進めています。

今回も刷新にあたり、専門家に相談しながら、2019年より検討を進めました。具体的には以下のような内容です。

・ロジックの根本的な刷新が必要かどうか
・必要であれば、どのような方式を採用するのがよいか
・有力な方式の検証と比較、選定
・システム構成など技術面での実現方法の検討・検証

結論として、Meta(旧 Facebook)社が開発した自然言語処理ライブラリfastText方式を採用し、これに弥生独自のカスタマイズを加えたものを使用しています。

採用したポイントとしては、精度がきちんと出るかという点と個人別の学習に時間がかかり過ぎてはいけない、という点です。精度がきちんと出るか、は当たり前の条件ですが、加えて、後者も意識しました。

会計ソフトの仕訳は日々行うものです。例えば、自動仕訳のデータが間違っていて手動で直したとします。それがその数分後には学習して、次からは正しい仕訳がされることが望ましいと考えます。

AIは一般的に集合知と相性が良いですが、仕訳という業務の特性上、個人の過去の変換など、個人別学習も重要です。そのバランスを考えて採用しました。もちろん同業種などの集合知も活用しながら、仕訳の精度を高めていきます。弥生の強みの一つは、ご利用いただいているお客さまが多いことですから、今後、精度はますます上がっていくと思います。

チャレンジに対しての社内の後押し

2019年の半ば、刷新のプロジェクトを進める承認を得るために、経営会議でのプレゼンを行いました。

今回、チーム内で課題を感じてのボトムアップの提案でした。それもあり、会議では色々と質問されることも想定し、準備をしていました。(なぜ今やる必要があるのか、現状維持ではだめなのか等)

しかし、刷新を行いたいと打診した際、社長をはじめとした経営陣はとても前向きに受け止めてくれました。もちろん、刷新の必要性が伝わるよう、客観的かつ論理的な説明をした上ですが、それでも想像以上に新しいチャレンジを好意的に受け止めてくれたことは、今でも印象に残っています。

経営陣の立場としては、コストや品質面でのリスクから、現状維持という結論も十分あったかと思います。そんな中、チャレンジを後押ししてくれたことが、本当にうれしかったです。

弥生賞グランプリ発表時の社長のコメントで、「このチームは本当に新しい価値、これまでにない価値をチャレンジして作った」「刷新して仮に問題が起きたとしても、何もチャレンジしないより良い」という言葉をいただいて、改めてチャレンジを後押ししてくれる環境だということを実感しました。

そして今回の刷新にあたり、大きな問題が起きなかったことに、ほっとしています。(笑)
自分たちの取り組みがさらに社内でチャレンジを後押しする追い風になったらいいなと思います!

最後に

私たちのチームは、お客さまの業務を支える縁の下の力持ちになりたい、と常日頃から考えています。

冒頭にもお伝えしたように、自動仕訳機能の存在に気付かなくなるくらい、自然で正解率の高い自動化されたサービスを目標にしています。日々の取引が自動で仕訳されて、会計ソフトに反映されることが、当たり前になる世界を引き続き目指していきます!

ご利用のお客さまは、今後もYAYOI SMART CONNECTにご期待ください!まだ使ったことないというお客さまは、ぜひ試してみてほしいと思います。

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「弥生会計」から始まった弥生は今、「事業コンシェルジュ」として、価値ある新たなサービスを提供する存在になることを、会社のビジョンとして掲げています。私たちの想いをもっと知っていただくために、弥生の副音声的なこぼれ話や裏側をお伝えしていきます。